野菜

行った場所の記録

美味しいダージリンティー

「美味」という言葉を文字の通りに受け取るとするならば、わたしが今日飲んだダージリンティーは寸分違わずそれだった。

コロナ騒動がひと段落した6月上旬、わたしの仕事は未だにはじまらない。家に引きこもりきりの生活もそろそろ2ヶ月を過ぎた。

家にずっといるのもほとほと疲れてきたし、来週からは本格的に仕事が始まる。思い切って前々から気になっていた町に出かけることにした。

ラッシュを過ぎた昼頃、人が少ない電車に乗って1時間、品と下町の情緒を兼ね備えた商店街に降り立った。

5分ほど歩いて、事前に調べて目をつけていた雑貨店を見つけた。スタンドランプとクッションカバー、化粧ポーチを買い求めた。

想像以上に素敵だったそれらを胸に抱えて、満ち足りた心持ちで商店街をぶらぶらと散歩した。せっかくなので軽めのランチかお茶でもして帰ろうと思った。

初夏の爽やかな空気を感じながら、上機嫌に弾む歩みのために深みのあるブルーに白い小花が散ったシャツの裾がはためくのが心地よかった。

商店街の中には、直感がこれという喫茶店は見当たらなかった。しばらく歩くと商店街を抜けた。

少し電車に乗って、乗り換えのあたりでなにか探そうか。そう思いながら通りを歩く道中、異国への入り口のような扉が現れた。

その扉の両端には金色のインド像の置物が守神のように二つ置かれていた。ここが良い。と直感が告げたがハードルが高く通り過ぎた。

後ろ髪を引かれながら駅に向かってしばらく歩いたが、一歩歩くたびに髪の毛はぐんぐん引っ張られている。ええい、ままよ!

来た道を戻り、再びその扉の前に立った。

1人きり、何かに背中を押されて扉を開けた。絵が飾られた壁を横目に、大きな鏡が置かれた階段を登る。階段を登りきると、柔らかな明るさをたたえた空間に、インドの女神ドゥルガーを背負ったコック帽のインド人が立っていた。

 「お一人ですか?」

そう問われて1人だと答えると中に通された。

店内は窓からさす日光で柔らかく照らされていた。天井は高く、バザールのごとくカラフルな布で覆われている。

柱からはカラフルなランプが吊り下げられ、壁にはオアシスが背景に描かれた人物画が飾られていた。

唐草が彫られた椅子とテーブル、刺繍が施されたソファとクッションがバランス良く配置され、テーブルの上に置かれた真鍮の花瓶には生花が生けられていた。

店内にはわたししか居なかった。

案内された席に着くとガネーシャ像とマンダリンが目に入った。テーブルに目を落とすと、ガラスの下で鹿が踊っていた。

メニューの中からチキンカレーとナン、チャイを頼む。

頼んだ料理ができあがるまで、店内を見渡した。置かれている調度品は数えきれないほどの色を持ちながらも絶妙なバランスを保ち、完璧な美しさを醸し出していた。顔を横に向けると椅子の中に嵌め込まれた小さな絵画と目があった。

しばらくすると頼んだものが銀の食器に盛られて運ばれた。店員さんが親切に食べ方を教えてくれた。

「これ、カライ。」

「これ、パリパリ。」

カレーはさほど辛くはなく食べやすかった。ナンもしっとりとしたバターが効いていた。

食後のチャイは風味をしっかり残しつつも癖があまりなくて美味しかった。お腹も心もほどよく満たされた。

お会計を済まそうと鞄から財布を出すと店員さんがこちらに向かって歩いてきた。

ダージリン、サービス。」

金色のお盆に金属の茶器が乗せられて運ばれてきた。中に入っているのはダージリンティーだった。

目の前に置かれた白い陶器のカップには木苺があしらわれている。

丁寧に飲み方を教えられ、教えられた通りに赤く透き通った飲み物を注ぎ入れた。その時、金属の茶器のずっしりとした重さをはじめて知った。

一口含むと、舌の上に深い香りと味わいが広かった。それは肩の力がゆっくりと抜けるほど美味しかった。

調度品と柔らかなクッションに包まれながら味わい深い紅茶を楽しんだ。

帰り際、撮った写真をツイッターに載せて良いか店員さんに確認をした。了承を得たが、帰りの電車に乗った時にその気持ちはさっぱり消え失せてしまった。

小さい頃、自分の目に宝物に映ったものはきっと人目につかぬように大切にしていた。あまりにも贅沢な時間を過ごしたために、むやみやたらにそのお店のことを人に言うのが嫌になってしまったのだった。

これまでの人生で出会った嫌なことが全部帳消しになるくらい美味しいダージリンティーだった。

電車に揺られながらふとそう思った。

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五色の酒珍道中(うそレポートOL編)

社会人になって1ヶ月が経った。

はじめは距離感のあった同僚たちとの会話も敬語が抜けて、以前より慣れた空気が漂っている。

もちろん、なかなか慣れない仕事や朝起きることがしんどいこともあるけれど、社会人の実感もじわじわと沸いてきた。早くも、大学生だった日々が過去のものになりつつある。

 

いろいろありつつ、四苦八苦しながら新生活を過ごしているうちに、あっという間に初任給を手にする日がやってきた。

給料日、仕事帰りにまだ一度も使っていないピカピカのキャッシュカードでお金を下ろした。今思い返すと、無機質な画面に映る貯金残高があれほど輝いて見えたことはなかった。

大学生のころにしていたアルバイトは頑張っても10万円が限界だった。正社員になった今、口座に振り込まれるのはそれのほぼ倍の金額である。労働万歳!

生活費の他に1万5000円を下ろして、わたしは都営浅草線に飛び乗った。臙脂とクリーム色をした都営浅草線の電車はなんであんなに可愛い見た目をしているんだろう。

初任給のはじめての使い方はあらかじめ決めていた。それは老舗のバーでお酒を飲むというものだった。

わたしは大学生の頃からのバーに密かに憧れを抱いていた。いかんせん酒呑みである。

しかし、大学生の若造である身分とチャージ1000円越えの壁が厚くてどうしても行けなかった。大学生が老舗のバーなんてどう考えたって生意気じゃん。バーは300円均一のムーンウォークが関の山だった。

でも、今のわたしは初任給を手にしたことで気が大きくなっている無謀な新米OLだ。黒いベストに蝶ネクタイを締め、髪をオールバックに撫でつけたジェントルマンがぼんやりした照明の下で謎の小さい樽をしゃかしゃかしてお酒を作ってくれる空間に飛び込むことにした。

駅に降り立つと、アイフォンのマップアプリを稼働させて目当てのバーの場所を検索した。

これから行くバーはどこにするかは決めていた。

 

初任給でどこのバーに行こうか調べていたときに、ふと「五色の酒」のことを思い出した。

五色の酒というのは、大正時代の結社「青鞜」(原始女性は太陽であった。で有名な女性誌)の一員であった尾竹紅吉(大正時代版男装の麗人平塚雷鳥と百合関係であったことが有名)が東京にはじめて出来たカフェ「鴻乃巣」で振る舞われたカクテルである。当時、喫茶店やカフェはアルコールが振るまわれることが普通の店であった。

大正時代のカフェで振る舞われた鮮やかなカクテルなんて、これ以上に最高なお酒はない。

わたしは仕事の休憩時間にネット、ツイッター、インスタ等の情報ツールをフル活用して五色の酒が飲める場所を探した。一週間の格闘の末に日本橋小網町で五色の酒を提供しているバーがあることを知った。

 

目印が乏しい目的地に奮闘すること20分、ついに目当てのバーにたどり着いた。

地下へと続く階段の先は見えない。ドキドキしながら一つずつ階段を降りた。尾竹紅吉にリスペクトをはらい、今日のわたしはパンツスーツだ。

中が窺えないタイプの扉を恐る恐るゆっくりと開けた。深い茶色をしたバーカウンターと机、壁に掛かったいくつかの絵画が真っ先に目に入った。

店内に人は多くないようだった。

 「お一人様ですか?」

ロマンスグレーの髪を撫でつけたバーテンダーの方が声をかけてくれた。

今思い返せば、一人です。と答えた声が裏返っていないことを祈るばかりである。

カウンターに通された後、メニューを渡された。上からカタカナのカクテルの名前を眺めるているうちに、五色の酒、という名前を見つけて胸が高まった。チョイスが合っているのか自信はないが、五色の酒とオリーブ、ラスクを頼んだ。

 

入ったときには緊張したけれど、しばらくすると落ち着いた心待ちになってきた。喫茶店に似た雰囲気だったからかもしれない。小さい頃から祖父母によく老舗の喫茶店に連れて行かれたので、わたしはこういう場所への耐性がわりとある。

壁際にある本棚を眺めると近代の作家の名前が並んでいた。聞き覚えのある範囲だと小山内薫北原白秋、木下杢太郎、高村光太郎上田敏永井荷風谷崎潤一郎…。

途中でハッと気がついた。明治時代にあった文芸と美術の懇談会、パンの会に所属していた作家たちの名前だった。

目を輝かせているうちに、バーテンダーの方がわたしの前にそっとカクテルを置いてくれた。

 下から茶、緑、白、青、赤。

赤いストローがさしてあった。それをそっと咥えて飲んでみた。

1番下の茶色はウィスキーのようだった。

本当は写真を撮りたかったが、聞くのが憚られた。オリーブをつまみながら嗜んだ。

一段ずつ飲んでいくと、緑は爽やかなミントの味がした。白はジン…?舌に鋭い何かが刺さってピリリとした。青と赤は甘い味がした。

 「文学に興味がおありなんですか?」

人が少なかったこともあるのだろう、バーテンダーさんが話しかけてくれた。文学部にいたときに五色の酒のことを知ったと話したら、バーテンダーさんは壁に掛かっている絵の一つを指した。

 「あの絵、尾竹紅吉の絵なんですよ。」

バーにはそぐわない、日本画が掛けられていた。繊細なのに、儚さは決して感じさせない絵だった。驚いたわたしを見てバーテンダーさんは静かに笑っていた。

 

支払いを済ませて外に出ると、春の風が心地よかった。緊張が解けたこともあってか、急にお腹が減ってきた。

サイゼリアの場所を調べながら、再びここに訪れるにはまだまだ貫禄が足りないだろうか。と思った。

 

 

 

 

念のための注意書き

本ブログはこういう初任給の使い方したい。というコロナの影響で1日も労働を果たしていない新卒OLの妄想100%のレポートです。

 

 

 

好きな日本酒

ここ最近暇になって好きなものと向き合う機会が増えた。

そういえば日本酒を好きだ好きだと言いながら全然銘柄とか味とか食べ合わせを覚えていないので印象に残ったものだけでも記録しようと思った次第。

 

居酒屋の日本酒

①二級酒(佳撰)

しょっぱなから治安が良くないぞ。今では二級酒とはあんまり言わないらしいですね。これは居酒屋とかにある安い日本酒。上野にある大統領が初対面だった。口に入れるとアルコールがぶわっと広がる。酒によくある焼けつく感じ。個人的にはもつ焼きのタレとか味の濃いものと熱燗の二級酒の組み合わせが美味しくて大好き。安い日本酒はアルコール感が強いから熱燗にしちゃった方が美味しい気がする。

 

②おでんだし割り

読んで字のごとく。ワンカップを6分の2残しておでんのだし汁で割る。そして七味を振る。

これは赤羽のおでん屋さんで飲んだ。おでんと日本酒を堪能した後にだしで割る。最高。

今まで呑んだお酒の総合順位で言ったら1番かもしれない。そもそもだしって劇的に料理を美味しくするし、それに日本酒を入れてるんだから美味しくならないわけがない。七味も美味しい。

 

信濃

これは長野のお酒で冷酒で飲む。ほんのり甘くて美味しい。あのアルコールの焼ける感じがあんまりない。するするのめてしまう。これは上野にある立ち飲みのお店ではじめて飲んだ。この立ち飲みのお店は刺身とお酒をワンコインで呑ませてくれるところで刺身がとても美味しい。生牡蠣ともうかの星(サメの心臓)の美味しさをここで知った。

http://sake-maru8.com/tyouseisya.htm

 

④梅錦

飯田橋にある串鉄という居酒屋で飲んだ。愛媛県のお酒。

東北か北陸のお酒がやっぱり美味しいんじゃない?と思いながら飲んだので飲み終わったあと心の中で土下座した。美味しかった。

甘口で口当たりが爽やかに軽い。冷やの方が美味しいと思う。

あと、串鉄地酒がびっくりするくらい安い。

https://www.umenishiki.com

 

番外編 澪

宅飲み&合宿でレギュラーメンバーのスパークリング日本酒。度数3くらいだしほんとに飲みやすい。そして甘い。完全に冷酒で飲むべき。炭酸だからね。ゼミ合宿で初めて飲んだ。ビンもサムライブルーでいい感じ。日本酒苦手だな〜という人が飲むのに良いのだろう。あと、澪好きな女の子ってカシオレ好きより色っぽい気もする。好き。コンビニで売ってる。

 

買った日本酒

①作
読み方は「ざく」。これは冷酒で飲むべきお酒。三重県の酒造が作っている山田錦。今まで飲んできた日本酒のなかでも圧倒的第1位。優勝。水みたいにスイスイ飲めちゃう。甘口。飲みやすくて美味しいし、結構なんでも合う。以前祝酒に持って行ったら自分で4分の1くらい飲んでしまった。反省。

2019年のSAKECOMPETITIONで金賞取ってる。納得のおいしさ。

去年の今頃進路に血迷いまくっているときに日本酒専門の酒屋の説明会に行った時に教えてもらった。虚な目で酒瓶を抱えて帰るリクスーの女が誕生した。

http://zaku.co.jp

ホームページかっこいいな。 

 

②IceBreaker

パケ買い。涼しげな水色の瓶、歩くコウテイペンギンの親子が描かれており、ナチュラリストっぽい可愛さがある。これも冷酒で飲むのが良い。京都の酒造が売っていて、日本晴から作られている。

人畜無害、アルコールや日本酒が苦手な人にも大丈夫そうな顔をしているが見た目とは裏腹に一癖ある味がする。ウィスキーとかに似てるのかな…。ロックで飲むことを推奨されていて、たしかに氷を入れたほうが美味しかった。洋食と合いそうな気もする。

https://www.sake-tamagawa.com/prd_post/overseas06/

バチバチに「ロックで旨い!」って書いてある。

 

③はじまり

スパークリング日本酒。スパークリングなので冷酒。宮崎県の酒造が作っていて、お米も宮崎県のものが使われている。国司編纂1300年を記念した作られたらしい。壮大だ。

澪ほど甘くなくて奥行きのある味がする。少しだしっぽい。澪は飲めるけど日本酒はまだちょっと…という人に良いかも。料理は基本的にはなんでも合うけど和食のほうが合うかな。という感じ。瓶の作りがちゃんとしてて炭酸が抜けないように工夫してある。スパークリング日本酒は量もそんなに多くないので飲みやすい。

http://www.sentoku.com/product%20hajimari.html

 

④ぽんしゅグリア

ドライフルーツと砂糖が入っているワンカップに日本酒を入れて作るやつ。

甘いけどちゃんとアルコール。日本酒に浸かったフルーツを最後に食べるのが美味しい…。

現在、飲み終わったカップは砂糖入れになってる。

https://ponshu-gria.com

 

⑤雪月花

秋田のお米で作られている。甘口。

冷やで飲む方が美味しい。

サケヤスで購入できたため、もしかすると入手がしやすいのかもしれない。コロナ自粛中、宅配で頼めたのでありがたかった…リモート飲みで活躍した。飲みやすくて美味しいのでつい飲み過ぎてしまう。

https://www.ryozeki.co.jp/syouhin/syouhin.html

 

 

⑥自然郷

福島のお米から作られてる。お米が美味しいところのお酒は美味しいと50回くらい言っている。美味しい。

お米の甘さがあって飲みやすいけれど日本酒の辛さもしっかりある。口コミみたら夏仕様とか、サイダーっぽいとか書いてあってすごい共感した。冷やで飲むものな気がする。(辛さもあるから燗でもありかも?)個人的にはかなりすき。冷奴と一緒に飲み食いしたら最高だった。

日本酒が好きなあのこにプレゼントしたら青春がはじまりそう。1500円くらいで求めやすいのも魅力的。

https://www.daikichi-sizengo.co.jp/自然郷/

 

⑦すますま

スパークリング日本酒。岐阜のお酒。

ワイングラスでおいしい日本酒アワード受賞酒。

度数が5%で口当たりが良く、甘すぎないのでちょっと飲むのにぴったり。

旦那とのちょっとした記念日に、一緒に作ったちょっと良い夕ご飯のおともに飲みたい。(独身23歳女性)

https://www.jizake-japan.com/item/j0110tnr-smsm-h/

 

番外編 はせがわ酒店

人生に血迷っていた時にわたしに作を与えてくれた。日本酒をメインに扱っている酒屋さん。

ここの常連になりたくなってしまったので選考に進まなかった。美味しい日本酒がたくさんあるし、訊くとおすすめも教えてくれるので贈り物をするときにも利用している。都内に店舗がいくつかある。

https://www.hasegawasaketen.com

 

 

これから飲みたい日本酒

春うらら

以前、日本酒のイベントに参加させてもらった時に試飲させてもらった。岐阜の酒造で作っているもの。酒造の方も良い人だったし、お酒も美味しかった。買わねば。

https://www.nagaragawa.co.jp/shop/

 

 

他にも貰ったり買ったりしてたくさん飲んだのにちゃんと記録してなかったから忘れてしまった…ちゃんと記録しよう…

 

 

モーニング文化

最近、親しい友達に「名古屋旅行いきたい!」「モーニングのおすすめある?」と聞かれることが多いので、まとめてみようと思う。文章書くの好きだし。暇だし。コロナ自粛中だし。

まとめるにしても、わたしは成長の過程をほとんど東京で過ごしているし、親戚の8割が愛知県に住んでいてよく行くくらいなので軽く参考にする程度で読んでほしいです。この文章のソースはわたしがとてもお世話になっている親類一同と親類がお世話になっている喫茶店

 

あと、現在愛知県コロナウィルスの感染者数が全国2位です。持ち込まないよう、拾わないように現状が落ち着いてから遊びに行ってね。コロナが原因でモーニングや味噌カツ味噌煮込み外郎台湾ラーメンきしめんや天むすやナナちゃん人形がなくなることは絶対にないので。

 

①基本モーニング

はじめに、モーニングサービスって一体なに?というところから話して行こうと思う。

 

モーニングとは

茶店で朝行っているサービス。

一般的にはコーヒーにトーストとゆで卵が付いてくることが多い。すなわち、コーヒー1杯分の値段で朝ごはんが食べられちゃうお得なサービスなのである。

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愛知県の某チェーン喫茶店で提供されているモーニング

 

近年ではモーニングサービスも多様化していて、パンビュッフェをしているところや、パンの代わりにケーキの提供をしているところとかもある。多分検索するといっぱい出てくる。

トーストのメニューは選べることも多く(写真のトーストはシナモン)、その中には有名な小倉トースト(食パンの上に小倉餡とバターをのせたもの)があることも多い。

また、コーヒーチケットなる回数券を売っていることが多くて常連客は皆それを買っている。一大チェーン店のコメダ珈琲店でもこのサービスは行っているよ!

 

茶店の開店時間はだいたい6〜8時台と早いところが多く(下手すると5時台に開いてるとこもある)、地域密着型のところだと席案内がなく、各々自分勝手に席につくスタイルもある。

新聞や週刊誌がおいてあることが特徴。

お客さんは朝の散歩の帰りに寄る人、出勤前に寄る人、近所の人と談笑目的で来る人、さまざまである。

 

尾張民のモーニング

「朝喫茶店行ってもだあれもおらん!いかんなあ!コロナはえらいもんだわあ!」

愛知県尾張地方に住むこと75年、おそらく体の8割が喫茶店のコーヒーで形成されているわたしの祖父の最近の一言である。

この祖父は会社からの年金を打ち切られるかもしれないことでメンタルに大変なダメージを受けた日以外は喫茶店に行くことを今日まで欠かしたことのないヘビーモーニンガーだ。

すなわち、コロナレベルの災害にならなければ人々(ヘビーモーニンガーは除く)は日々モーニングを食べに行っているのである。

わたしの祖父宅が特にモーニングが盛んな地域であることも関係しているかもしれないが半径1キロメートル圏内に喫茶店が2,3軒は絶対にある。そして、それぞれの家庭に行きつけの喫茶店が2,3件程度ある。

家にいるお年寄りは毎日の日課としてモーニングを食べに行き、親戚と久しぶりに会う際にも喫茶店を使う。孫が来ればモーニングを食べさせるべく喫茶店に連れて行き、近所の人に何かのお礼をする時にはコーヒーチケットを手渡す。

個人経営の喫茶店では店員とお客さんが顔見知りになっていることも多々ある。おそらく、彼らにとっては喫茶店は自らの生活から決して切り離せない一部であり、文化である。

 

③モーニングの注意点

最近、モーニングサービスが有名になったことにより、サービス内容が一人歩きしていることがある。「意外とショボかった…」なんて思う人も中にはいるかもしれない。

最初に書いたように基本はコーヒーとトースト、茹で卵のセットがだいたい400〜500円程度で食べられるというものがほとんどだ。もし、豪勢なモーニングを食べたいのであればきちんとネットなどで調べて計画を立てるのが良い。

また、ふらっと個人経営の喫茶店に訪れると常連客しかおらず、標準語1,5倍速の尾張弁が空間にあふれていることがある。恐れなくても良い。彼らは早口で声が大きく言葉尻がやや強めなだけで基本は同じ親切な日本人である。多分ね。

 

④個人的解釈おすすめのモーニングの楽しみ方

これは名古屋観光をする際にどんなモーニングを食べたいか。によると思う。

例えば、豪勢なやつとか写真映えするようなモーニングを食べたい!などの観光目的でのモーニングを食べたいのであればネットのおすすめとかモーニング特集記事を見てちゃんと調べていくのが1番良いと思う。中には一日中モーニングやっていたり、トースト以外の品揃えも豊富なところがあったりするし、そういうところにのってるやつは観光客の人が来ることも多いだろうし。

もし、名古屋文化にずぶずぶに勇気を持って触れてみたい!異文化体験したい!と思うのであれば個人経営の喫茶店に朝早くにふらっと訪れるのがおすすめです。きっとそこではコーヒーとトーストとゆで卵が提供される空間で、各々コーヒーを楽しみ、常連同士簡単な挨拶を交わす年配のヘビーモーニンガーとこてこての尾張弁が溢れていることでしょう。

 

⑤最後に

愛知県に現在住んでもいないわたしが書いちゃっていいのかな、と思いながら震えながら書きました。軽めの参考にしてください。

あと、名古屋飯を食し、名古屋土産を買うのであれば名古屋駅の地下にあるエスカに行くんだ。絶対に。

台湾に行ってきた(うそレポート最終日)

いよいよ最終日の朝が来た。

荷物をまとめて、メモ用紙にお礼を書き、チェックアウトの手続きをした。

外に出て、荷物をロッカーに入れたあと、初日に気になった甘味処に向かった。小さくてカラフルなしめ飾りがぶら下がった素朴で可愛らしいお店である。中にはいると、猫のぬいぐるみと目があった。レトロな木製の机に案内された。出されたメニューには写真がついていたため、それを参考に頼んだ。ドリンクは花茶というメニューがあったためそれを付けた。店内には台湾の自然の風景を撮った写真や絵が飾られていた。今回の旅行では台北のあたりしか回らなかったが台中の方に行くとまた違う雰囲気になるのだろうか。とふと思った。

存外早く頼んだものは来た。わたしが頼んだものからは甘く爽やかな香りが立ち上っていた。

同行者は朝から甘いものを食べる気にあまりならないらしくにゅうめんのようなものを頼んでいた。訊いてみたらビーフンだとのこと。

花茶を一口口に含むと紅茶とは少し違う香りがした。桂花陳酒の香りに少し似ている気がした。続いて頼んだものを口に運んだ。どろどろしていて豆と白玉のようなものが浮かんでいるぜんざいのような見た目だがどんな味がするんだろうか。

スッと鼻に香りが通った。ミントが入っているらしい。続いてややもったりした甘みが舌の上に広がった。個人的にはとても好きな味だった。花茶との相性も良くて日本でどこか食べられるところはないのかな…と思った。

朝食を満喫したあとは龍山寺に向かった。この日は最終日のため、西門町の近いところを観光してお土産を買おうということになっていた。

龍山寺に向かう途中、観光雑誌に「地元の人が鳩に餌をやってる」と書かれている場所が近くにあったため立ち寄った。地元の人はいなかったが尋常では無いレベルの鳩は見ることができた。鳩への餌やりを禁止される前の浅草寺が思い出された。

同行者が鳥好きのため、鳥を扱っているお店が多くある通りにも寄った。木で作られた鳥籠に文鳥やインコが飼われていて情緒があった。品定めをしている人もいた。

寄り道をしつつも時期に龍山寺にたどり着いた。赤や黄、青、金色が使われた門は遠目から見ても目立った。上野の東照宮にちょっと似ている。

入館料を払い、中に入ると朱塗りの柱が等間隔に並んでいた。壁には彫刻が施され、豪華絢爛の四文字が似合う場所だった。よくよく見ると柱の根本には金の飾りがつけられている。日本の寺とは様相が随分異なっていた。

突き当たりまで進むと柔和な表情の仏様と天女のような女性の像が置かれていた。部屋の中には日本のものより鋭い線香の香りが満ちていた。線香を一つ買い求めて煙を立てた。

一通り中を見終わると時刻は12時。台湾に来てからまだ一度も小籠包を食べていないことに気がついたため、近くの食堂に入った。

台湾ビール(瓶)を頼み乾杯をした。小籠包と水餃子、青椒肉絲を頼んだ。この八角の匂いともお別れなのか…と思うと鼻の奥が少しだけツンとした。わたしはご飯を食べることが下手くそなので小籠包を無理に口の中に押し込んで食べて熱々の肉汁で口の中を火傷だらけにした。

ヒリヒリ痛む口をもごもごさせつつ、お土産を探すべくショッピングモールに向かった。

とりあえず、パイナップルケーキを買い求め、ぶらぶらしていると九份で見た半額の値段でチャイナシューズが売っていた。水色のその靴は自分の持っているワンピースによく合う気がして即決で買った。

思いもよらぬ良い買い物に上機嫌になったため、その後思い切って少し大きめなからすみも買った。同行者は旅行でテンションが高めだからか珍しく珍味っぽいものもちょこちょこ買っていた。

買い物もひと段落つき、足が疲れたためにカフェに入った。かき氷も食べていないと気がついたためマンゴーのかき氷を頼んだ。マンゴーはトロトロで甘くて美味しかった。ただし、先ほど火傷だらけにした口のなかに果汁がとても染みて痛くて泣きながら食べた。悲喜交交。

かき氷を楽しんでいるうちにバスの時間が近づいてきていた。ショッピングモールを出て、ロッカーから荷物を回収して空港行きのバスが来るバス停に向かった。

「楽しい旅行だったね。」どちらからともなくその言葉が出た。1番よかった場所、1番美味しかったもの。それぞれの感想を言い合った。

バス停に着き、しばらくするとバスが来た。バスに乗ると甘栗の匂いがした。揺られること30分、空港に着いた。

搭乗手続きをして、荷物を預けて飛行機に乗った。日本語と中国語が混ざる空間。アナウンスが流れて飛行機が飛んだ。

台湾がどんどん遠くなっていった。

ありがとう台湾。はじめての海外旅行が台湾でよかった。

 

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台湾で食べた料理一部抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

台湾に行ってきた(うそレポート2日目)

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同行者に台湾での日々を思い出させることにも成功したうそレポート。

 

2日目、未だはじめての海外に対する興奮が覚めていないようで、朝はスムーズに起床した。

化粧を済ませた後、同行者とともに今日の予定と交通機関の乗り換え方法を念入りに確認した。その日は猴硐と九份に行った後に火鍋を食べる予定であった。

猴硐は猫がたくさんいることで有名な村、九份は電車の中でよく天井からぶら下がっている幻想的な光景の町である。

千と千尋の隠しのモデルになったともいわれている大人気観光地で混雑が予想された。旅行雑誌の九份に関する項目はよく読み返した。そんなに広くはないため2,3時間で回ることが可能。夜の20〜21時ごろは帰りが混雑するため注意、夕方から夜にかけてが綺麗、云々。

確認が終わって各自荷物をまとめ、ホテルを出た。この日は朝ご飯に外でお粥を食べると決めていた。

公園の横を通り過ぎるとタンクトップのご老人がたくさんいた。おそらく太極拳をやっているようだった。生太極拳である。同行者と2人、テンションが上がってしばらく見てしまった。

寄り道をしつつも、無事にお店についた。観光雑誌に載っているだけあり、昨日行ったお店よりは綺麗な感じであった。海鮮のお粥を頼んだ。

朝10時なのにも関わらず、それなりにお客さんが入っていた。お粥を待っている間にも絶えず新しく人が入ってくる。昨日行った故宮博物院や夜市の話をしている間にお粥がきた。

やや小ぶりな丼の中になみなみ入っている。匙でかき回すと具がかなり入っていることがわかった。これで300円なのは安いな…と思いながら一口食べた。

海老の香りがくちいっぱいに広がった。出汁もよくきいててとても美味しかった。脂っこいものを昨夜食べた胃にしみた。

結構しみじみ食べていた気がしたのだがあっという間になくなっていた。支払いにもだんだん慣れてきたな…と思いながら勘定を済ませて駅に向かった。

西門から猴硐までは電車で行くことができる。

板南線に乗り、南港駅で乗り換えた。この時、乗り換えがスムーズにいかずに少し動揺してしまった。台北鉄道に乗り換えて10駅どうにか着いた。時刻は12時だったため、お昼を食べる場所を探した。

猴硐は猫が沢山いる村として有名で、ご飯屋さんを探している間に猫モチーフの物が沢山置いてあった。猫の銅像がデフォルメされていて少し奇妙な雰囲気を醸し出していた。あちこちに猫がいて、ちょろい人間であるわたし達はすぐに猫のもとに走っていってしまいご飯屋さん探しはとても難航した。かわいいものの前に人は無力である。どの猫ちゃんも愛嬌があったのだが特に茶虎の猫ちゃんがかなりたくさん撫でさせてくれた。神楽坂のむぎまる2のすんちゃんを彷彿とさせる猫ちゃんだった。このこにも名前があったのだろうか。

どうにかご飯屋さんにたどり着いたのは14時。

もうおやつの時間になってしまったので猫のクッキーが載っている蒸しパンみたいなケーキを食べた。キャッチーな見た目に反して上品な味だった。

この後さらに猫ちゃんを満喫して駅に着いたのは15時だった。電車に乗り、隣の瑞芳駅に向かった。観光客らしき人についてバスに乗り換えた。揺られること40分、無事に九份にたどり着いた。到着時刻は16時。猫ちゃんに翻弄されたわりに計画通りではあった。まだ夕刻までは少しあったため、お店を冷やかしながら石段を登る。人が多くあまり道端には立ち止まらない空気だった。浅草寺の仲店通りに雰囲気が似ていた。途中、中華風サンダルでかわいいものがあったのだが、観光地価格だったためぐっと堪えた。電車の広告で見た通り赤い提灯があちらこちらにあった。

17時半、石段の頂上にたどり着いた。周りの人に押し合いへしあいされつつも街を見下ろすことができた。山を背景に夕陽と提灯に照らされた町はたしかに美しくて幻想的だった。どこか温もりを感じさせる景色で一筋だけ、涙がこぼれてしまった。最近読んだ漫画に「恋という感情は懐かしさだ。」というような描写があってその場面が鮮やかに蘇った。感極まって思わず同行者の手を強く握ってしまった。

日が沈むまで景色を眺めて石段を降った。

バス停にたどり着き、バスに乗る。

景色の話をしているうちにふと、聞き覚えのない駅の名前を聞いた。

わたし達は瑞芳に向けて戻っているはずである。それなのに、聞き覚えのない駅の名前を聞くことはあるのだろうか。

答えは否である。このバスは反対方面だった。慌ててバスを降りて反対方面に向かう。この時、バス停がなかなか見つからず苦労した。どうにか瑞芳行きのバスを見つけて乗る。

結果的に空いてるバスに乗れてラッキーな気がしないでもなかったが肝はやや冷えた。瑞芳駅にたどり着き、電車に乗って台北駅に向かった。

事前に調べていた火鍋の店に向かう。同行者が辛いものが好きで一度食べてみたいという要望があったため火鍋を食べることにした。

念のため、ミント味のガムは日本で購入した。いざ火鍋…!

お店に入り、火鍋を頼む。香辛料の香りが漂い、緊張の面持ちで話をしている最中、白と赤のおめでたい色のスープが運ばれてきた。

親切なお店で店員さんが具材のセットしてから下がってくれた。地獄の釜のようにぐつぐつ煮たっている。

一通り火が通りお互い皿に装う。はじめは赤い方から。白菜を口に運んだ。

熱い、美味しいが順番にきた。ピリっとするけれど食べられそうだ。二口目を口に運ぼうとした時異変が起きた。

暑い、痛い、である。慌てて水を飲んだ。

目の前の同行者にバッテンマークのジェスチャーをした。ダメです。

結局その後は同行者が滝のような汗を流しながら美味しそうに一人で食べていた。ちなみに白い方はわたしも美味しく食べられた。

シメはラーメンだった。満腹のお腹を抱えて満足でお店を出た。

お店から駅に向かうまでの道には歴史を感じる建物がいくつかあった。おそらく日本統治時代のものなのだろうな、と予測ができた。暗い中そびえるそれらの建物は九份とは別の幽玄な美しさがあった。近代のものがわたしは好きなので興味を持ってそれらを見た。

しばらく散歩して時間は夜の22時、駅にたどり着き西門に向かった。いよいよ明日が旅行の最終日、車窓から外を眺めながらなんだか少しだけ寂しい気持ちになった。

台湾に行ってきた(うそレポート1日目)

3月上旬、台湾に行ってきた。

国内旅行が好きで、今まで一度も海外に行ったこともなく、卒業の機会に海外旅行に行こうと決意した。パスポートの申請は余裕を持って、旅行雑誌も3冊も買ってしまった。

計画も分刻みで、換金は渡航先ですべきであること、ポケットWi-Fiが必要なこと、お水のことや、公衆トイレのこと。海外旅行の調べることの多さに驚きつつも準備万全、羽田空港から飛び立ち3時間、桃園空港にたどり着いた。

保安検査は前回の長崎旅行で経験済みだったのでスムーズにできてよかった。スーツケースが壊されていたらどうしようと不安もあったものの、綺麗な状態でかえってきた。

換金はテキパキしたお姉さんのおかげで無事ににすみ、空港から市街地に行くバス停も探すのに苦戦しつつも余裕を持って発見することができた。

隣のおじさんが食べてる甘栗の香りを嗅ぎながら、満杯の車内で揺られること30分、宿泊予定の西門にたどり着いた。

今までの人生で円しか使ったことがなかったため、向こうの通貨で支払うことはドキドキしたが車掌さんが親切に教えてくれた。謝謝!

事前に見ていた観光雑誌によれば西門は日本でいう原宿の立ち位置らしい。雰囲気は都心の感じに少し似ていたが、原宿よりもゆったりとした空気が流れている気がした。

また、香辛料の匂いがどこからともなく香っていて、そこで初めて異国にきた実感が湧いた。

チェックインまでは時間があったため、近くの料理屋に入る。同行者の人と、ご飯を食べるとき半分は有名店で、半分は現地で目に入ったお店で食べようと決めていた。

店に入ると異国の言葉で何かを言われた。「いらっしゃいませ。」ということなのだろうか。

机に案内される。水は出されなかった。

メニューからかろうじて読めて言える自信のある烏龍茶と魯肉飯を頼んだ。

店内を見渡すと壁がやや黄みを帯びていて少しだけ不安になったが家族連れも多かったため、まあ大丈夫だろうと心を落ち着かせた。各テーブルには赤い提灯が置かれていた。テレビで流れているのはおそらく大河ドラマのようでヒゲの軍人らしき人たちが喧嘩をしていた。

ついに来ちゃったね、と何度目か分からない言葉を同行者にいった。わたし達はお互いはじめての海外旅行で不安ながらも心待ちにして楽しみにしてきた。

この後は故宮博物館に行って夜市に訪れる予定だった。電車の場所と乗り換え方法を確認しているうちに頼んだものがきた。

烏龍茶は日本のものより香りが良くてこくがあった。家族のお土産にいいかもしれないと思いながら魯肉飯を食べる。

あまだれや香草の香りがわたしは苦手なのだが、この魯肉飯はとても美味しかった。烏龍茶とよく合うのが理由かもしれない。

脳裏に、谷崎潤一郎の『細雪』でロシア人の女性が日本の中華料理店は見た目が汚いお店の方が美味しいと言っていたことが過ぎった。

以前の旅行は一人だったため、感想の共有ができなかったことが寂しくもあったが、今回は味の感想を言い合いながら食べられたのでことさらに美味しかった。

食べ終わり、少しもたつきながらも会計を済ませて外に出た。ホテルまで歩き、チェックインを済ませた。ホテルには日本語ができるスタッフがいて少しホッとした。

荷物を置いてお腹を少し休めたあと、ホテルから駅に向かった。駅は歩いて5分ほどの場所にあるようだ。当たり前だが、街中で日本語はほとんど聞こえなかった。心細さと新鮮さが胸をいっぱいにした。

電車は地下鉄だった。切符の買い方や路線図の見方は日本と大差ないようだった。複雑怪奇首都圏内の路線図を見慣れているわたし達はそこまで困ることもなかった。

当たり前のことだが電車内の表示が全て漢語であったのが印象に残った。

電車を降りたのち、バスに乗った。

この時、バス停の場所がわからず、現地のお兄さんに中国語で尋ねたら中国人と勘違いされたらしく、道順を中国語で説明されて慌ててしまった。第二外国語で少しだけ習ったからカッコつけてしまった。ごめんね。お兄さん、うぉーしーりうべんれん。

そんなこんなありつつも、無事に故宮博物館にたどり着いた。

堂々たる白い建物は美しく立派だった。中でチケットを購入すると大理石なのだろうか、白い階段が目の前に現れた。階段の右端には龍の、左端には虎の彫刻が置かれていた。

龍と虎に睨まれつつ階段をのぼる。

有名な翡翠で作られた白菜の彫刻はなかったが、角煮の方は展示されていたため、展示室に向かうと想像以上にリアルな角煮が飾られていた。彫刻らしさを残しているとこといえば当たっている光の照り返しがかなり強いところくらいだった。

赤い壁紙や絨毯で染め上げられた部屋の中で堂々とした角煮があるのはなんだか迫力があった。

美術館や博物館は好きだが、文化的な価値や芸術的な魅力はいまいちわからないのでとりあえず、まんべんなく回った。

個人的には猫を抱いた天女の絵が美しいなと思った。真っ白い肌と真っ白な猫、黒いさらさらした髪と伏せられたまぶたとまつげ、赤くて小さな唇。たった三色のいろのコントラストがシンプルでモダンな感じがしたのが良かった。

これ以外はいろいろ見たのだが、とにかく中が広すぎて印象がぼやけてしまった。悔しい。

各展示室の色味が鮮やかなのに作品を邪魔することなく素晴らしかったな、とは思った。

この後、博物館の前に庭園があったので夕陽に染まる中散歩をした。白梅が綻んでいる下で紺色の制服の少女たちが語り合っている姿が可憐だった。

 

博物館を出た後、本来はバスに乗る予定だったのだが、歩いて士林夜市に向かった。

故宮周辺は観光できる場所があまり無いためか、現地の住民らしき人が自転車で通りがかったり、帰宅途中らしき学生がたくさんいた。

それなりに距離はあったはずなのだが、故宮博物館の感想を言いながら歩いたらあっという間にたどり着いた。夜市は台湾に短期留学していた友達に1番おすすめだと言われていたのでワクワクしながら足を踏み入れた。

赤提灯が照らす中、多くの人が食事を楽しんでいた。温かみがあるのにとても幻想的な景色だった。ぼう…と見惚れているのお腹が鳴った。立ち込める食べ物の匂いが食欲を刺激した。

はじめに目についた屋台で台湾ビールと小籠包を買った。

同行者はかつて中国の屋台でお腹を壊した経験があるらしくはじめに少し難しい顔をしていたけれど、一口食べると二個、三個と食べていた。十全排骨という薬膳スープにも挑戦した。独特な匂いで、こういう癖のあるやつはいつか病みつきなりたいなあと思いながら眉を寄せつつ完食した。

唐辛子たっぷりのいかにも辛そうな食べ物にも挑戦したかったがわたしには無理だった。同行者は汗を流しながらも美味しそうに食べていた。少しだけうらめしかった。

買い物をする時、料理名を指差すのと現地の通貨で支払うときは毎回ドキドキしたけれども楽しかった。

ホテルまでは歩きは遠すぎたので電車に乗って最寄り駅まで戻った。終電を確認してみると0時くらいだった。日本とあまり変わりはないようだ。

ホテルに戻り、ベットに寝転んだ。

気を張っていたこともあり、体の力が一気に抜けるようだった。明日は九份に行く予定がある。まだ旅行初日なことが嬉しかった。