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行った場所の記録

台湾に行ってきた(うそレポート1日目)

3月上旬、台湾に行ってきた。

国内旅行が好きで、今まで一度も海外に行ったこともなく、卒業の機会に海外旅行に行こうと決意した。パスポートの申請は余裕を持って、旅行雑誌も3冊も買ってしまった。

計画も分刻みで、換金は渡航先ですべきであること、ポケットWi-Fiが必要なこと、お水のことや、公衆トイレのこと。海外旅行の調べることの多さに驚きつつも準備万全、羽田空港から飛び立ち3時間、桃園空港にたどり着いた。

保安検査は前回の長崎旅行で経験済みだったのでスムーズにできてよかった。スーツケースが壊されていたらどうしようと不安もあったものの、綺麗な状態でかえってきた。

換金はテキパキしたお姉さんのおかげで無事ににすみ、空港から市街地に行くバス停も探すのに苦戦しつつも余裕を持って発見することができた。

隣のおじさんが食べてる甘栗の香りを嗅ぎながら、満杯の車内で揺られること30分、宿泊予定の西門にたどり着いた。

今までの人生で円しか使ったことがなかったため、向こうの通貨で支払うことはドキドキしたが車掌さんが親切に教えてくれた。謝謝!

事前に見ていた観光雑誌によれば西門は日本でいう原宿の立ち位置らしい。雰囲気は都心の感じに少し似ていたが、原宿よりもゆったりとした空気が流れている気がした。

また、香辛料の匂いがどこからともなく香っていて、そこで初めて異国にきた実感が湧いた。

チェックインまでは時間があったため、近くの料理屋に入る。同行者の人と、ご飯を食べるとき半分は有名店で、半分は現地で目に入ったお店で食べようと決めていた。

店に入ると異国の言葉で何かを言われた。「いらっしゃいませ。」ということなのだろうか。

机に案内される。水は出されなかった。

メニューからかろうじて読めて言える自信のある烏龍茶と魯肉飯を頼んだ。

店内を見渡すと壁がやや黄みを帯びていて少しだけ不安になったが家族連れも多かったため、まあ大丈夫だろうと心を落ち着かせた。各テーブルには赤い提灯が置かれていた。テレビで流れているのはおそらく大河ドラマのようでヒゲの軍人らしき人たちが喧嘩をしていた。

ついに来ちゃったね、と何度目か分からない言葉を同行者にいった。わたし達はお互いはじめての海外旅行で不安ながらも心待ちにして楽しみにしてきた。

この後は故宮博物館に行って夜市に訪れる予定だった。電車の場所と乗り換え方法を確認しているうちに頼んだものがきた。

烏龍茶は日本のものより香りが良くてこくがあった。家族のお土産にいいかもしれないと思いながら魯肉飯を食べる。

あまだれや香草の香りがわたしは苦手なのだが、この魯肉飯はとても美味しかった。烏龍茶とよく合うのが理由かもしれない。

脳裏に、谷崎潤一郎の『細雪』でロシア人の女性が日本の中華料理店は見た目が汚いお店の方が美味しいと言っていたことが過ぎった。

以前の旅行は一人だったため、感想の共有ができなかったことが寂しくもあったが、今回は味の感想を言い合いながら食べられたのでことさらに美味しかった。

食べ終わり、少しもたつきながらも会計を済ませて外に出た。ホテルまで歩き、チェックインを済ませた。ホテルには日本語ができるスタッフがいて少しホッとした。

荷物を置いてお腹を少し休めたあと、ホテルから駅に向かった。駅は歩いて5分ほどの場所にあるようだ。当たり前だが、街中で日本語はほとんど聞こえなかった。心細さと新鮮さが胸をいっぱいにした。

電車は地下鉄だった。切符の買い方や路線図の見方は日本と大差ないようだった。複雑怪奇首都圏内の路線図を見慣れているわたし達はそこまで困ることもなかった。

当たり前のことだが電車内の表示が全て漢語であったのが印象に残った。

電車を降りたのち、バスに乗った。

この時、バス停の場所がわからず、現地のお兄さんに中国語で尋ねたら中国人と勘違いされたらしく、道順を中国語で説明されて慌ててしまった。第二外国語で少しだけ習ったからカッコつけてしまった。ごめんね。お兄さん、うぉーしーりうべんれん。

そんなこんなありつつも、無事に故宮博物館にたどり着いた。

堂々たる白い建物は美しく立派だった。中でチケットを購入すると大理石なのだろうか、白い階段が目の前に現れた。階段の右端には龍の、左端には虎の彫刻が置かれていた。

龍と虎に睨まれつつ階段をのぼる。

有名な翡翠で作られた白菜の彫刻はなかったが、角煮の方は展示されていたため、展示室に向かうと想像以上にリアルな角煮が飾られていた。彫刻らしさを残しているとこといえば当たっている光の照り返しがかなり強いところくらいだった。

赤い壁紙や絨毯で染め上げられた部屋の中で堂々とした角煮があるのはなんだか迫力があった。

美術館や博物館は好きだが、文化的な価値や芸術的な魅力はいまいちわからないのでとりあえず、まんべんなく回った。

個人的には猫を抱いた天女の絵が美しいなと思った。真っ白い肌と真っ白な猫、黒いさらさらした髪と伏せられたまぶたとまつげ、赤くて小さな唇。たった三色のいろのコントラストがシンプルでモダンな感じがしたのが良かった。

これ以外はいろいろ見たのだが、とにかく中が広すぎて印象がぼやけてしまった。悔しい。

各展示室の色味が鮮やかなのに作品を邪魔することなく素晴らしかったな、とは思った。

この後、博物館の前に庭園があったので夕陽に染まる中散歩をした。白梅が綻んでいる下で紺色の制服の少女たちが語り合っている姿が可憐だった。

 

博物館を出た後、本来はバスに乗る予定だったのだが、歩いて士林夜市に向かった。

故宮周辺は観光できる場所があまり無いためか、現地の住民らしき人が自転車で通りがかったり、帰宅途中らしき学生がたくさんいた。

それなりに距離はあったはずなのだが、故宮博物館の感想を言いながら歩いたらあっという間にたどり着いた。夜市は台湾に短期留学していた友達に1番おすすめだと言われていたのでワクワクしながら足を踏み入れた。

赤提灯が照らす中、多くの人が食事を楽しんでいた。温かみがあるのにとても幻想的な景色だった。ぼう…と見惚れているのお腹が鳴った。立ち込める食べ物の匂いが食欲を刺激した。

はじめに目についた屋台で台湾ビールと小籠包を買った。

同行者はかつて中国の屋台でお腹を壊した経験があるらしくはじめに少し難しい顔をしていたけれど、一口食べると二個、三個と食べていた。十全排骨という薬膳スープにも挑戦した。独特な匂いで、こういう癖のあるやつはいつか病みつきなりたいなあと思いながら眉を寄せつつ完食した。

唐辛子たっぷりのいかにも辛そうな食べ物にも挑戦したかったがわたしには無理だった。同行者は汗を流しながらも美味しそうに食べていた。少しだけうらめしかった。

買い物をする時、料理名を指差すのと現地の通貨で支払うときは毎回ドキドキしたけれども楽しかった。

ホテルまでは歩きは遠すぎたので電車に乗って最寄り駅まで戻った。終電を確認してみると0時くらいだった。日本とあまり変わりはないようだ。

ホテルに戻り、ベットに寝転んだ。

気を張っていたこともあり、体の力が一気に抜けるようだった。明日は九份に行く予定がある。まだ旅行初日なことが嬉しかった。