台湾に行ってきた(うそレポート2日目)
同行者に台湾での日々を思い出させることにも成功したうそレポート。
2日目、未だはじめての海外に対する興奮が覚めていないようで、朝はスムーズに起床した。
化粧を済ませた後、同行者とともに今日の予定と交通機関の乗り換え方法を念入りに確認した。その日は猴硐と九份に行った後に火鍋を食べる予定であった。
猴硐は猫がたくさんいることで有名な村、九份は電車の中でよく天井からぶら下がっている幻想的な光景の町である。
千と千尋の隠しのモデルになったともいわれている大人気観光地で混雑が予想された。旅行雑誌の九份に関する項目はよく読み返した。そんなに広くはないため2,3時間で回ることが可能。夜の20〜21時ごろは帰りが混雑するため注意、夕方から夜にかけてが綺麗、云々。
確認が終わって各自荷物をまとめ、ホテルを出た。この日は朝ご飯に外でお粥を食べると決めていた。
公園の横を通り過ぎるとタンクトップのご老人がたくさんいた。おそらく太極拳をやっているようだった。生太極拳である。同行者と2人、テンションが上がってしばらく見てしまった。
寄り道をしつつも、無事にお店についた。観光雑誌に載っているだけあり、昨日行ったお店よりは綺麗な感じであった。海鮮のお粥を頼んだ。
朝10時なのにも関わらず、それなりにお客さんが入っていた。お粥を待っている間にも絶えず新しく人が入ってくる。昨日行った故宮博物院や夜市の話をしている間にお粥がきた。
やや小ぶりな丼の中になみなみ入っている。匙でかき回すと具がかなり入っていることがわかった。これで300円なのは安いな…と思いながら一口食べた。
海老の香りがくちいっぱいに広がった。出汁もよくきいててとても美味しかった。脂っこいものを昨夜食べた胃にしみた。
結構しみじみ食べていた気がしたのだがあっという間になくなっていた。支払いにもだんだん慣れてきたな…と思いながら勘定を済ませて駅に向かった。
西門から猴硐までは電車で行くことができる。
板南線に乗り、南港駅で乗り換えた。この時、乗り換えがスムーズにいかずに少し動揺してしまった。台北鉄道に乗り換えて10駅どうにか着いた。時刻は12時だったため、お昼を食べる場所を探した。
猴硐は猫が沢山いる村として有名で、ご飯屋さんを探している間に猫モチーフの物が沢山置いてあった。猫の銅像がデフォルメされていて少し奇妙な雰囲気を醸し出していた。あちこちに猫がいて、ちょろい人間であるわたし達はすぐに猫のもとに走っていってしまいご飯屋さん探しはとても難航した。かわいいものの前に人は無力である。どの猫ちゃんも愛嬌があったのだが特に茶虎の猫ちゃんがかなりたくさん撫でさせてくれた。神楽坂のむぎまる2のすんちゃんを彷彿とさせる猫ちゃんだった。このこにも名前があったのだろうか。
どうにかご飯屋さんにたどり着いたのは14時。
もうおやつの時間になってしまったので猫のクッキーが載っている蒸しパンみたいなケーキを食べた。キャッチーな見た目に反して上品な味だった。
この後さらに猫ちゃんを満喫して駅に着いたのは15時だった。電車に乗り、隣の瑞芳駅に向かった。観光客らしき人についてバスに乗り換えた。揺られること40分、無事に九份にたどり着いた。到着時刻は16時。猫ちゃんに翻弄されたわりに計画通りではあった。まだ夕刻までは少しあったため、お店を冷やかしながら石段を登る。人が多くあまり道端には立ち止まらない空気だった。浅草寺の仲店通りに雰囲気が似ていた。途中、中華風サンダルでかわいいものがあったのだが、観光地価格だったためぐっと堪えた。電車の広告で見た通り赤い提灯があちらこちらにあった。
17時半、石段の頂上にたどり着いた。周りの人に押し合いへしあいされつつも街を見下ろすことができた。山を背景に夕陽と提灯に照らされた町はたしかに美しくて幻想的だった。どこか温もりを感じさせる景色で一筋だけ、涙がこぼれてしまった。最近読んだ漫画に「恋という感情は懐かしさだ。」というような描写があってその場面が鮮やかに蘇った。感極まって思わず同行者の手を強く握ってしまった。
日が沈むまで景色を眺めて石段を降った。
バス停にたどり着き、バスに乗る。
景色の話をしているうちにふと、聞き覚えのない駅の名前を聞いた。
わたし達は瑞芳に向けて戻っているはずである。それなのに、聞き覚えのない駅の名前を聞くことはあるのだろうか。
答えは否である。このバスは反対方面だった。慌ててバスを降りて反対方面に向かう。この時、バス停がなかなか見つからず苦労した。どうにか瑞芳行きのバスを見つけて乗る。
結果的に空いてるバスに乗れてラッキーな気がしないでもなかったが肝はやや冷えた。瑞芳駅にたどり着き、電車に乗って台北駅に向かった。
事前に調べていた火鍋の店に向かう。同行者が辛いものが好きで一度食べてみたいという要望があったため火鍋を食べることにした。
念のため、ミント味のガムは日本で購入した。いざ火鍋…!
お店に入り、火鍋を頼む。香辛料の香りが漂い、緊張の面持ちで話をしている最中、白と赤のおめでたい色のスープが運ばれてきた。
親切なお店で店員さんが具材のセットしてから下がってくれた。地獄の釜のようにぐつぐつ煮たっている。
一通り火が通りお互い皿に装う。はじめは赤い方から。白菜を口に運んだ。
熱い、美味しいが順番にきた。ピリっとするけれど食べられそうだ。二口目を口に運ぼうとした時異変が起きた。
暑い、痛い、である。慌てて水を飲んだ。
目の前の同行者にバッテンマークのジェスチャーをした。ダメです。
結局その後は同行者が滝のような汗を流しながら美味しそうに一人で食べていた。ちなみに白い方はわたしも美味しく食べられた。
シメはラーメンだった。満腹のお腹を抱えて満足でお店を出た。
お店から駅に向かうまでの道には歴史を感じる建物がいくつかあった。おそらく日本統治時代のものなのだろうな、と予測ができた。暗い中そびえるそれらの建物は九份とは別の幽玄な美しさがあった。近代のものがわたしは好きなので興味を持ってそれらを見た。
しばらく散歩して時間は夜の22時、駅にたどり着き西門に向かった。いよいよ明日が旅行の最終日、車窓から外を眺めながらなんだか少しだけ寂しい気持ちになった。