強面の人、みんなちいかわみたいな絵描いてくれ
先日、海鮮丼を食べた。
有名なところらしく、いつも行列ができていた。結構前から気になっていた場所だった。
開店とほぼ同時に並んだのでさほど待たずにお店に入れた。ウキウキしながらカウンター席に着いたら、となりにスキンヘッドに柄シャツを着た強面のお兄さんが座っていた。
お兄さん話し方もなかなか強面で端的だった。メニュー見せられる前から食べるものが決まっていたし言葉は丁寧だけれど愛想とかにこやかさとかが一切無い。声は低い。
悪い人では無いだろう。しかし怖い。
かなり美味しい海鮮丼をもくもくと食べながら隣のお兄さんが怖いと思っていた。わたしとお兄さんを隔てるものは薄い透明なパーテーション1枚である。お兄さんが今ここで熱々なお茶をひっくり返したら多分火傷するのわたしなんだろうな。
海鮮丼を食べながら脳みそが微妙な緊張状態になり思考が回転しはじめた。
脳内の「海鮮丼美味しい」の横のスペースが空けられ、隣のお兄さんがデフォルメの、目がキラキラの小動物を描いている映像が流れた。ちいかわだ。
緊張状態の脳みそはお兄さんにちいかわ描かせていた。
「海鮮丼めっちゃ美味い」と「強面のお兄さんがちいかわを描いててかわいい」という二つの感情が並列した。
その一件以来、なんだかツボにハマってしまい「強面な人のちいかわブーム」がわたしの中で来てしまった。働いているときに強面の人が来ると脳内で強制的にちいかわを描かせてしまう。
真剣な強面の顔と太くて硬そうな指が白いノートの上にちいかわを描く。描き終わるとふふっと微笑むのである。かわいい。
あと強面の人が物腰柔らかかったりすると「ちいかわ描いてるしな…」と妙に納得するようになった。勘違いをしたくない。ちいかわを描いている強面の人はわたしが生み出したイマジナリー強面なんだ。
ナガノさん、めっちゃ強面の人の可能性あるのだろうか。